日本語と日本文化


韓国併合100年を機に「痛切な反省」


菅内閣は十日、韓国併合条約発効100年を機に、過去の植民地支配に対する「痛切な反省」と未来志向の両国関係への期待をこめた首相談話を発表した。

談話は「韓国の人々は、その意に反して行われた植民地支配によって、国と文化を奪われ、民族の誇りを深く傷付けられた」との認識を表明したうえで、「歴史の事実を直視する勇気とそれを受け止める謙虚さを持ち、自らの過ちを省みることに率直でありたい」として、「植民地支配がもたらした多大の損害と苦痛に対し、ここに改めて痛切な反省と心からのお詫びの気持ちを表明する」としている。

談話の内容は1994年の村山談話を踏まえたもので、ほとんど似たような表現だ。だが、村山談話が終戦50年の節目に出されているのに対し、今回の談話が韓国併合100年の節目にだされたことから想起されるとおり、そこには自ずから日韓関係の不幸な歴史に関する認識が感じ取れる。

こうした認識にたったうえで、両国関係を、アジア地域の平和と安定、核軍縮、気候変動などで協力してリーダーシップを発揮するパートナーとして位置づけている。韓国は日本にとって、いよいよ重要な存在になっていくだろうとする期待を盛り込んだものだ。

この談話にあわせて、日本側が所有していた韓国の古文書「朝鮮王室儀軌」(上の写真:宮内庁提供)を引き渡す意思を表明した。「返還」ではなく「引き渡す」との表現を選んだのは、解決済みの補償問題を蒸し返すつもりがないことを、意識した結果だと政府は説明している。

この談話と古文書の取り扱いについて、批判的に受け止めているものもいる。安倍元首相は、こうしたやり方が解決済みの補償問題を蒸し返す恐れがあるとして、強硬に反対しているし、民主党内にも慎重な態度を求める勢力がある。

だが大きな目で見れば、今回の菅談話が日本にとってマイナスに働くとは考えるべきでない。

真の友好に支えられた二国間関係は、相互理解と信頼に基づいて初めて達成される。ところが日韓の間に、それが熟成しているとは、まだまだ到底いえないのが、不幸な現実だ。

日韓の間の相互理解と信頼の関係を積極的に築いていくためには、両国の間における過去の不幸な歴史を正面から見据え、その中で起きた過ちについては、率直に認める態度が必要だ。


    

  
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