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三番叟を見る




和泉流狂言の名跡野村万之丞襲名披露として演じられた「三番叟」の模様を先日(三月廿六日)NHKが放送した。この披露は、一月の松のうちに千駄ヶ谷の国立能楽堂で行われたそうだ。三番叟は毎年の初めに、「翁」とともに演じられるのが恒例化しており、今年もそれにあわせて松のうちに演じられたわけだが、これに名跡の襲名披露が重なって、めでたさも二重になったというわけである。

野村万之丞とは、野村万蔵家の重要な名跡で、将来万蔵を襲名すべきものが名乗ることになっているという。国立能楽堂で開かれたその舞台では、万之丞の「三番叟」と並んで、万蔵家の重鎮で人間国宝の野村萬が、これも正月用のめでたい狂言「松囃子」を演じた。それとともに、和泉、大蔵両流の垣根を越えて、合同で「歌仙」を演じた。これは野村万蔵による改作だそうだ。

「三番叟」はもともと五穀豊穣を祈る神事であるから、普通の狂言と違って、ドラマ性は全く無い。意味不明のまじないの文句をつぶやきながら、ひたすら舞い続けるというものだ。前後二段に分かれていて、前段では直面で舞い、後段の鈴の段では、尉の面をかぶり鈴を鳴らしながら舞う。

上の写真は前段の舞の一部。野村万之丞の精悍な表情がなかなかよい。下の写真は後段の鈴の段。黒い面をかぶり鈴を振りながら勇壮な舞を舞う。






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