日本語と日本文化


三粋人経世問答:2010参院選を語る


無覚先生:参院選が終って数日たちましたが、選挙の結果はいまひとつすっきりしないといった感じで、これで日本の政治は好くなるのか、悪くなるのか、わたしを含めた国民の多くも、またオピニオン・リーダーと呼ばれる人たちも、どう解釈していいのか、とまどっているといった様子にみえるね。

俄然坊居士:それでも結果を踏まえて、買ったの負けたのという論調は相変わらず横行していますな。

無覚先生:民主党は改選議席をだいぶ下回ったのだから、確かに負けたといってもよいし、逆に自民党は上回ったのだから、勝ったといってよいかもしれないね。

静女史:自民党というより、野党といったほうがいいかもね。特に「みんなの党」が躍進したのは目新しいことだったと思うわ。議席の上では公明党を上回ったんですものね。

無覚先生:大方の見方では、今回の選挙では真の勝利者というものはいないといったほうがあたっているんではないかな、民主党に対する国民の失望感のようなものがあったことはたしかなことだが、それを十分吸収できた勢力が存在しなかった、ともいえる。

俄然坊居士:だいたい民主党は、政権をとってまだ一年にもならないうちから、国民の不信を買ったといえましょう、その原因は主に鳩山さんにある、普天間をめぐる外交上の迷走、子ども手当など自民党以上のばら撒き政策、そして独善的な国会運営、こうしたことが党のイメージを悪くした、そういえるんじゃないでしょうかね

静女史:でも菅さんに交代して、内閣支持率も回復傾向だったし、少なくとも選挙の始まったころにはまだ、民主党は決定的なダメージを受けていたとはいえないと思うわ、やはり選挙戦の途中から菅さんが消費税の問題を取り上げるようになったことが、大きく響いたのじゃないかしら

俄然坊居士:消費税の影響はなにも民主党だけの問題じゃない、自民党は民主党よりも早く消費税の引き上げを訴えたにもかかわらず、今回の選挙ではそのことで手ひどいマイナスにはならなかった

静女史:だとしたらやはり民主党政権のあり方自体が問題になったのかしら、自民党に変わる選択肢として民主党を選んだのに、民主党はその期待にこたえなかった、答えないばかりか、国民不在という点では自民党顔負けだなんて、そんな幻滅感が作用したのかしら、だとしたら二大政党制にたいするわたしたちの期待も、もしかしたらぬか喜びに終わるかもしれないわね

無覚先生:いやそうとばかりはいえないと思うよ、わたしなどは、今回の選挙は政権の選択をめぐるものというよりは、民主党に反省を促すための、国民のちょっとした意思表示だったように思われるんだ。

静女史:というと?

無覚先生:日本の政治をめぐっては、こんな面白い見方がある。国民は国の行方を左右するような重大な選択については衆院選を通して意思表示する一方、政権党が行き過ぎた独走を始めたときには、参院選を通して、その修正を求める。こうしてみると今回の選挙結果は、時に唯我独尊的態度を示しがちな民主党に対して、国民がお灸をすえたのだといえなくもない

俄然坊居士:それにしては民主党はあまりにもお粗末だったんじゃないかな。政権をとってまだ一年以内なのだから、本来だったら、政党としてもっとも情熱に燃えていてしかるべきときだ。政策面では独自性を示し、実行力においても強いリーダーシップを印象付けてしかるべきなのに、かえって政権党としての統治能力を云々されている始末だ。これでは本格的な二大政党制に向けて、まだまだ責任ある当事者としての能力には欠けているといわねばならない。

無覚先生:二大政党の当事者能力という点では、自民党も似たり寄ったりだね、イギリスやアメリカでは二大政党の片割れは、政権から滑り落ちたその日から政権奪回に向けて精力的に活動を始める、ある程度の時間はかかるにしても、次の総選挙に狙いを定めて着々と政治的な準備にとりかかるんだ。ところがいまの自民党は選挙に負けて茫然自失の状態がいまだに続いている、民主党が失策を演じても、それをうまく利用できない、こんなわけで、日本の場合には成熟した二大政党制とはいえない状態だ

静女史:それで多くの国民はしらけた感じでいるのではないかしら、民主党が困ったことばかりしていても、それをコントロールできるわけでもなく、またほかの政党にやらせてみようという気にもなれない、そんないらいらが今回の選挙をしらけさせたのではないかしら

無覚先生:いまのところはまだ、民主党の政治能力を一刀両断のもとで切り捨てるべき段階じゃない、それだけはいえると思うよ。成熟した政治が確立されるためには、我々国民も努力しなければならない、そういう意味で、もうすこし政治の行方を見守っていく必要があるだろうね。


    

  
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