日本語と日本文化


三粋人経世問答:菅内閣のチグハグ外交を語る


無覚先生:尖閣諸島をめぐる中国とのゴタゴタが収まらないうちに、今度はロシアのメドヴェージェフが北方領土を訪問して、日本側の神経を逆なでするような行動に出たね、北方領土の返還に取り組んできた関係者は当然のこと、国民の広い層に、ロシアへの怒りがかつてないほどに高まっている、菅総理も民主党も、この怒りを受け損なったら、大きな打撃を蒙るだろう

俄然坊居士:今回は、中国もロシアも、日本の政府を見くびった上で、揺さぶりをかけてきているような気がするな、どうも日本の政府は、少しくらい手荒にあしらっても、たいした反応を示さないだろうと、侮られているふしがある

無覚先生:たしかにそのように受け取れるね。メドヴェージェフが、北方領土訪問の意思を示したとき、日本政府は訪問を差し控えるよう公式に要請していたにもかかわらず、メドヴェージェフは公然とそれを無視した、そうすることによって、北方領土がロシアにとって、正当な領土の一部だとの主張を、世界に向かって発信した形だ

静女史:メドヴェージェフは大統領になって以来、北方領土の返還に向けた努力を、全然してこなかったでしょう?旧ソ連の指導者でさえ、北方領土が日本の領土であることを認めざるを得なかったのに、それを今になって、公然と否定するような態度に出てきているのはどうしたわけでしょう?

俄然坊居士:やはり日本政府の弱腰ぶりに付け込んでいるのだよ。中国と日本との間で尖閣諸島問題が勃発したとき、ロシアは、この問題に対する日本側の反応を注意深く見ていたに違いないんだ。その結果、日本の外交の弱腰ぶりに、自分たちも付け入る余地を見出したのだろう。

静女史:たとえばどんなこと?

無覚先生:ロシアは先日、中国との間で対日戦争勝利65周年記念行事を催したが、その際に、北方領土が戦争の結果ロシア側の領土になったとの主張を公然と表明した、こんなことはこれまでなかったことだ。普通の感覚なら甚大な影響を考慮せざるをえないところを平然とやるのは、相手を馬鹿にしている証拠だ、ロシアはこういうことで、占領という既成事実の重みで、北方領土を永遠に支配する意思を、改めて表明したと受け取れる。

静女史:あら、そんなことを許したら大変なことになるわね、

無覚先生:場合によっては、そうならないとも限らない、そうなるかならないかは、日本側の今後の動きにかかっている、要するに手をこまねいていては何事も前進しないということだろう

俄然坊居士:今日の無覚先生は、やけに物分りがよいですな。ここはひとつ、日本政府には毅然とした態度をとってもらい、場合によっては報復措置をとるくらいの気概を持ってもらいたい

無覚先生:わしも何らかの対抗措置をとることについてやぶさかではないが、といって力を頼むばかりが能ではない、やり方にはいろいろあるというものだ

静女史:たとえばどんなやり方ですの?

無覚先生:今回わしにも感じるところがあったのは、尖閣諸島をめぐる日中の主張を、世界中の人がどのようにうけとめていたかということだ、日本政府は中国の主張には理由がなく、尖閣諸島はわが国固有の領土なのだから、尖閣諸島をめぐってはなんらの領土問題も存在しないと言い放ってきた、一方中国側も尖閣諸島が歴史的経緯からして中国の領土であると主張していた、ところが、日中双方の言い分が、世界中の人々にとっては、相対的で、どっちもどっちといった具合に受け取られたふしがある、たとえばニューヨークタームズの記事などは、尖閣諸島をめぐる日中の主張を取り上げて、中国側の主張に分があるというような書き方をしていた。

静女史:あら、尖閣諸島への日本の領有権主張は、世界中から認められていたわけではなかったのですか?

無覚先生:国際法的には、日本の領有に意義を唱えるものはないといってよいが、レアルポリティークの上では、中国の姿勢に理解を示すものもいるといった具合で、そこが日本にとっては甚だ具合が悪い。やはり、領土問題については、日常から自分の主張を国際社会に示し、絶えず国際社会の了解を得る努力を続ける必要があるということだろう。でないとへんな風に遠慮しているとうけとられる恐れがある。

俄然坊居士:ところで無覚先生、ロシアの主張をけん制し、北方領土の解決を一歩でも前進させるためには、どうしたらよいとお考えですか。

無覚先生:北方領土をめぐる交渉は、これまでは日露(日ソ)両国の二国間の問題として位置づけられてきた。その交渉の長い歴史の中で、ロシア側は問題を前進させようとする熱意を次第に失ってきたのではないか、そしてメドヴェージェフに至って、これまでの交渉の経緯を無視して、占領の永久化を狙うようになったのではないか。これはやはり、この問題を日露の二国間に封じ込めていては、永久に解決しないかも知れぬということを物語っているのかもしれない。日本はこの問題に対する姿勢を抜本的に改める必要があるかもしれないね。


    

  
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