日本語と日本文化


あけびと女陰の類似


「あけび」とは実のなる植物の一種だが、それが「あけつび」から「つ」が脱落してできた言葉だと喝破したのは南方熊楠である。「あけつび」とは「開玉門」とも書くように、開いた女陰のことをさす。その姿に、熟して開いた「あけび」の実の形が似ているというので、それを「あけつび」といい、それではあまりにも露骨だとして「あけび」というようになったというわけである。

たしかに、アケビの身が熟して開いた形は女陰のそれにそっくりである。筆者が少年時代を過ごした下総佐倉地方では、「あけび」のことを「吊るしなんとか」といっておったが、この場合の「なんとか」は女陰をあらわす例の四文字言葉であった。

その熊楠によれば、あけびのことを「仙女草」と書いて「つぶくさ」と読ませる例もあるという。この場合の「つぶ」とは「つび」のことで、要するにこれも女陰を指す。

東日本では女陰を「つび」ということはほとんどなかったようだが、西日本では広く用いられ、いまでもずばり「つび」と言うほかに、「つぉんべ」、「とんび」、「とび」など、「つび」の変形と思われる言葉も流通しているという。

「あけび」は女陰に比せられたほかに、人の微笑する姿に比せられることもあった。「新撰字境」には「いがくりは心弱くぞ落ちにける、この山姫のゑめる顔みて」という歌が載っているが、ここでいう山姫とはアケビのこと、その開いているざまが人の微笑している顔に似ているのをみて、いがくりが心打たれて枝から落ちたというのである。

また無類の好色家であった、かの和泉式部は、「よしやよし昔やむかしいがくりのゑみもあひなば落ちもこそすれ」と詠んでいるが、これも先ほどの歌と同じような意味合いである。なお、和泉式部は好色のあまり性病をわずらったことがあるらしく、「かさつび」になったとも伝えられている。「かさつび」とは、「かさ=腫瘍」ができた女陰と言う意味である。

和泉式部とは直接関係がないが、この「かさつび」を医師に治してもらった女の話が「今昔物語集」の中に出ている。(女、醫師の家に行き瘡を治して逃ぐる語 巻二四第八))




  
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