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仏教経典の研究:お経を読む


仏教経典を、日本ではふつうお経と呼んでいる。日本の仏教は、いわゆる大乗仏教であるから、日本人が読むお経は、ほとんど大乗経典と呼ばれるものである。釈迦が語った言葉を集めたといわれるお経(原始仏教経典のたぐい)や、小乗関係のお経も参考程度に読まれているが、圧倒的なのは大乗経典である。日本では、天台宗の影響が強かったこともあって、天台宗が大事にした法華経を中心に、浄土系の宗派が拠り所とする浄土三部経や、禅宗の系統で特に大事にされている般若経典がよく読まれている。

このサイトでは、大乗経典の主なものをとりあげ、お経の文言に当たりながら、仏教の思想について考えてみたいと思う。仏教の思想は短期間で成立したものではなく、かなり長い時間をかけて徐々に形成されたと考えられている。だいいち、釈迦自身書物を残すことはなかったのであって、釈迦の弟子たちやその後継者たちが、釈迦の教えを口述したり、書物にあらわしたりするうちに、仏教と呼ばれる思想が固まっていったのである。キリスト教やイスラム教では、教えといって思想とはいわない。教えの内容は、信仰にかかわることであり、それは基本的には心情の問題であって、思想を云々するものではないという了解があるからだろう。ところが仏教に関しては、無論教えという言葉は使われるが、それと同じような強度で思想という言葉が使われる。仏教は、信仰のみではなく、世界への人間の関わり方や認識の仕方にも関わるという了解があるからだ。

このサイトが対象とする大乗仏教は、西暦紀元前後に盛んになり、紀元一世紀の末ごろまでに主なお経が成立したとされている。もっとも古く成立したのは般若経典であり、それに続いて、維摩経、法華経、浄土三部経などが順次成立した。主要な大乗経典のなかで最後に成立したのは華厳経と考えられるが、これは仏教的な世界観をもっとも体系的に示したものである。日本では、法華経の権威があまりにも高く、法華経こそがお経の頂点と考えられ、最も後になって成立したとされた時代もあったが、いまでは、上述したような順序で成立したと考えられている。

大乗と小乗の最大の相違は、小乗が個人のさとりをめざすのに対して、大乗が個人のさとりを超えて広く衆生一般のさとりをめざすところにあるといわれる。そのように、自分がさとりを得るのみならず、衆生をもさとりに導くべく修行する人を菩薩という。それに対して、小乗においてさとりを得た人は阿羅漢と呼ばれる。

大乗経典でも、般若経など初期のものや比較的古いものでは、阿羅漢としての釈迦の弟子たちに向かって釈迦が説きかけるという形をとっていたが、次第に菩薩が主人公になって、その修行の内容としてお経が語られるようになっていく。法華経は菩薩たちの修行の様子を語ったものだし、華厳経は、主として菩薩の修行の諸段階を順次語ったものである。

これら複数のお経の間には、ある程度思想の発展過程を思わせるような関連性が認められる。般若経典は、もっとも古い大乗経典として、空の思想を語ったものであるが、それはすべての大乗経典の基本思想としてずっと受け継がれていく。法華経は、空の思想をふまえながら、衆生すべてに成仏の可能性を認めた一仏乗の思想を説き、浄土三部経は、阿弥陀さまがすべての衆生を極楽浄土に導いてくださるという信仰を説き、華厳経は、衆生が菩薩となってさとりを得るために必要な修行のプロセスについて説いている。どのお経も、思想を述べる一方で、さとりへのゆるぎない信仰を説いている点は同じである。

ここでは、そんな大乗仏教のさまざまなお経について読み説きながら、仏教経典が説いているところの思想の深さに思いをいたしたい。題して「仏教経典の研究:お経を読む」とした。


金剛般若経を読む

金剛般若経を読むその二:聖者について


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宝積経迦葉品を読む

中道の思想:宝積経迦葉品


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法華経を読むその三:譬喩品

法華経を読むその四:信解品

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法華経を読むその七:化城喩品

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法華経を読むその九:授学無学人記品

法華経を読むその十:法師品

法華経を読むその十一:見宝塔品

法華経を読むその十二:提婆達多品

法華経を読むその十三:勧持品

法華経を読むその十四:安楽行品

法華経を読むその十五:従地湧出品

法華経を読むその十六:如来寿量品

法華経を読むその十七:分別功徳品

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法華経を読むその二十一:如来神力品

法華経を読むその二十二:嘱累品

法華経を読むその二十三:薬王菩薩本事品

法華経を読むその二十四:妙音菩薩品

法華経を読むその二十五:観世音菩薩普門品

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法華経を読むその二十七:妙荘厳王本事品

法華経を読むその二十八:普賢菩薩勧発品


華厳経を読む

華厳経を読むその二:普光法堂会

華厳経を読むその三:菩薩の浄行と功徳

華厳経を読むその四:菩薩の十住

華厳経を読むその五:菩薩の十行

華厳経を読むその六:十の無尽蔵

華厳経を読むその七:十の回向



華厳経十地品(十地経)を読む

十地経を読むその二:第一歓喜にあふれる菩薩の地

十地経を読むその三:第二垢れをはなれた菩薩の地

十地経を読むその四:第三光明であかるい菩薩の地

十地経を読むその五:第四光明に輝く菩薩の地

十地経を読むその六:第五本当に勝利しがたい菩薩の地

十地経を読むその七:第六真理の知が現前する菩薩の地

十地経を読むその八:第七はるか遠くにいたる菩薩の地

十地経を読むその九:第八まったく不動なる菩薩の地

十地経を読むその十:第九いつどこにいても正しい知恵のある菩薩の地

十地経を読むその十一:第十かぎりない法の雲のような菩薩の地

十地経を読むその十二:終章この経の委嘱


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