日本語と日本文化


政党と徒党の相違


政党とは、一定の政治理念の実現を目標にして、理念実現に至る道筋を示した政策を掲げ、それをもとに有権者の支持を取り付けて、政治権力の維持・獲得をこととする団体である、というのが大方の国民の共通理解だろう。だから、明確な政治理念を有せず、政策も曖昧なまま、政治権力の獲得のみを目的とした集団は、政党とはいえない。そういう集団は、普通の日本語では徒党という。

こんなことを改まって言いだしたのは、ほかでもない。民主党政権がこけて、政治状況が混とんとする中で、政治権力の溶融現象のようなものが起き、国民の目には、誰に権力を託してよいのかわからないような事態が生じている。その混乱に乗ずるかのように、権力の獲得だけを目的とした集団の動きが活発になっているからだ。

民主党に幻滅した有権者の多くは、では自民党に、ということには中々ならない。いまの日本では、二大政党制が機能するまでには至っていないから、一方が駄目ならもう片方というわけにはいかないのだ。

ここに、徒党と言うべき連中の付け入る余地がある。彼らは第三極と称して、権力獲得だけを目的とした野合を繰り返している。政治理念の共通性はおろか、当面の政策もバラバラなまま、とにかく権力に与ろうと、それだけを考えている。脱原発を訴えていたものと原発の継続を訴えていたもの、増税の必要性を理解する者と減税を党是とするもの、こういった連中が一つの傘のもとに集まろうとしている。彼らのスローガンは、「小異を捨てて大同に就こう」というものだ。

日本の政治も、ここまで劣化したのでは、先が思いやられるというものだ。戦前の二大政党政治がうまく機能しないで、軍閥主導による軍国主義政治に道を譲ったように、これからの日本にも、非常にあやうい事態が待っているのだろうか。そんなことを考えさせられる。

ともあれ、徒党にも一定のレゾン・デートルが認められる。そんな光景を、筆者などは一種の危機感をもって見ざるを得ない。




  
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