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軍と売春はつきもの:維新の会のずれた感覚


日本維新の会のツートップの片割れたる橋下共同代表が、戦時中の旧日本軍の従軍慰安婦は必要だった発言し、世間をあっと驚かせたかと思ったら、もう一方の片割れである石原共同代表が援護射撃よろしく、「軍と売春はつきもので、歴史の原理みたいなもの」と発言した。この人たちはいったいどういうつもりでこんなことをいったのだろう、というので、マスコミは是非を問わず大騒ぎになった。

旧日本軍の指導者たちにとって、「軍と売春はつきもの」というのは常識だったかもしれない。そうでなければ旧日本軍が、20万人規模からなるいわゆる慰安所を経営していたことが説明できない。あの中曽根元首相でさえ、戦時中に主計将校として最も気を使ったのは慰安所の建設だったと、新聞の回想記に書いていたくらいだ。なにしろ、最前線で命をかけて戦っている若い兵隊のことだ。軍の方で彼らのシモの世話をしてやらないと、勝手に強姦をする。だから慰安所の設置は軍の規律のためにも必要だった。たしか、そんな趣旨のことを書いていたように記憶する。

中曽根元首相の主張はある意味で当っている。なによりも正直なのがいい。しかしだからと言って、彼の主張が今現在の世界で通るだろうと考えるのは間違っている。その間違っていることを橋本共同代表は無自覚のまま言っているふしがある。従軍慰安婦が必要だったというばかりか、沖縄の米軍に対しても売春婦を利用しろとアドバイスしたらしいから、無自覚というより、筋金入りの買春推進論者というべきかもしれない。

石原共同代表のような前時代の生き残りが、中曽根元首相と同じような時代精神を帯びているのはやむをえないことかもしれない。しかし筆者のような団塊の世代よりももっと後の世代の政治家が、中曽根元首相と同じような認識でいるというのは、日本という国にとって聊か不幸なことではあるまいか。




  
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