日本語と日本文化


能「羽衣」を見て


今年<2011年)のNHK元旦の新春能楽番組は、観世流の「羽衣」が放映された。シテは梅若万三郎、ワキは宝生閑だ。万三郎は大柄な体にしては、天女の色気をよく出せていたと思う。

羽衣は三番目ものではあるが、雰囲気がめでたいこともあって、正月にはよく演じられるようだ。キリのところで、「御願円満国土成就。七宝充満の宝を降らし。国土にこれを。ほどこし給ふ」という文句が出てくるし、太鼓方もある、ということで、もともと祝言能としての要素を持っているといってよい。

構成上は一応前後二段に分かれているが、天女は物着して、後半で天の羽衣を着るだけだから、現在ものと大して違わない。謡曲のテンポのよさと、舞のあでやかさが売り物の能だ。

観世流の謡曲では、この曲は比較的早い時期に稽古させられる。節回しの微妙さが、初心者には面白く、やっと謡曲らしいものを学ぶことができるという喜びに出会える曲だ。

そんなこともあって、筆者はこの曲が好きだ。何度聞いても飽きるということがない。


    

  
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