日本語と日本文化
HOME | ブログ本館東京を描く日本の美術日本文学万葉集プロフィール | 掲示板




能「石橋」を見る





NHKが昨夜(1月29日)、珍しく能の番組を放映した。題目は「石橋」。これは昨年の正月番組でも取り上げられていた。その時には、金春流の「群勢」という珍しい小書によるもので、獅子が四匹も出てきて勇壮な舞を披露するというものだったが、今回は喜多流で、紀州徳川家に伝わる小書によるというものだった。

とはいっても、特別な演出があるわけではない。通常前シテが尉であるところが、童子になっているくらいの差である。童子の出てくる能というのは、少年愛を感じさせるところがあるものだが、この能ではそういう感じは伝わってこない。文殊の浄土へむかって架かっている石橋を、獅子が渡ってゆくというのがテーマだから、同性愛の入り込む余地はないのだろう。

獅子の数は、通常通り一頭のみで、その一頭の獅子が勇壮な舞を披露する。昨年の群勢の獅子達とはまた違った趣を感じさせてくれた。

謡曲の詞書は普通のものと同じで、前後二段に分かれているところも、通常通りだ。なお、昨年の能の内容については、テクストを含めて別途紹介してあるので、そちらを参照願いたい。



HOME能楽 謡曲






作者:壺齋散人(引地博信) All Rights Reserved (C) 2008-2018
このサイトは、作者のブログ「壺齋閑話」の一部を編集したものである