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鬼の話:日本の昔話


鬼の話は、日本の昔話の中でもっとも好まれるテーマである。鬼といえば怖い存在であり、その怖いものを主人公にした昔話も当然怖いわけだから、子供も怖がるはずなのだが、なぜかその子供を目当てにした昔話には、鬼にまつわる話が多いのである。

その理由はいろいろ考えられるが、やはり鬼が日本人の生活と深いかかわりがあるからだろう。日本人にとって、鬼は非常に身近な存在であって、つねに意識していなければならないものだった。でないと、うかつな禍にまきこまれてしまう。そうならないためには、鬼についてよく知っておかねばならない。そういう切羽詰まった事情が、子供たちに鬼について語って聞かせようと、親たちをせきたけてのだと思う。

鬼には色々なタイプのものがある。なまはげのように季節的に訪れるもの、酒呑童子のような山中にこもって人をさらうもの、桃太郎が退治に出かけた鬼が島の鬼も、酒呑童子の仲間と思われる。そのほか、山の神とか山姥などもある。これらは、柳田国男の推論するところでは、日本列島の先住民が山に追われたことに起源があるそうだ。柳田は、南洋からやってきた人々が、もともとすんでいた人びとを山に追いやって、この国に稲作文化をもたらしたと考えている。

この話に限らず、日本列島は、さまざまな民族が寄り集まって一つの文化圏を作りあげたようである。そうした民族の多彩性は、日本神話にも反映されているが、昔話にも当然反映されていると考えられる。そうした多彩性は鬼の多彩性にもつながるわけで、昔話に色々なタイプの鬼が出てくることの根拠ともなると思われる。

ここでは、そんな日本の多彩なタイプの鬼たちについて、色々考えてみたいと思う。



● 鬼の話:昔話に見る日本の鬼

● 大江山の酒呑童子:山の神と鬼

● 安達が原の鬼婆:墓場の原風景

● 瘤取り爺さん:鬼と山伏と延年の舞:宇治拾遺物語

● 天狗の話:山の神と山伏

● 瓜子姫と天邪鬼

● 山姥にまつわる昔話:牛方山姥と山姥問答

● 食わず女房:菖蒲の魔よけ効果と女の家

● 桃太郎と鬼が島

● 一寸法師:打出の小槌と鬼の宝物

● おむすびころりんとオオクニヌシ神話:冥界訪問譚の昔話

● 案山子の話:一本足と一つ目小僧



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