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野田総理誕生への海外の反応


野田財務大臣が民主党総裁選を制し、日本の次の首相になることが決まったことについて、海外のメディアがどう受け止めているか、主要な新聞をあたってみた。

ワシントン・ポストは、国民への知名度が低く、党内基盤も強いとはいえぬ野田氏が総裁選を制したことに、驚きを感じているようだ。直前の世論調査では、5人の候補者のうち50パーセント以上の支持率を示した前原氏ではなく、たった5パーセントに過ぎなかった野田氏が勝ったのは、日本的な権力争いの特異性を反映したものだと、その閉ざされたあり方に批判的な目を向けている。

ニューヨークタイムズは、野田氏が現職の財務大臣とはいえ、政治家としての経験が未熟なことに懸念を表している。財政タカ派といわれるスタンスで、震災や原発被害からの復興、20年にもわたる経済の低迷といった重大な政治的課題に、果たして有効に対処することができるのか。外交の面でも野田氏は、A級戦犯は戦犯ではないと発言して中国や韓国の反発を煽ったばかりだが、果たしてそんなスタンスで、近隣諸国と良好な国際関係を築いていけるのか、といった点である。

英紙ガーディアンは、民主党内の権力争いを痛烈に批判している国民の声を紹介しながら、野田氏の前に横たわる政治的課題の重要さを、彼がどのようにこなしていくか、その政治手腕に問いかけている。そして野田氏が増税論者であるとともに、マーケットの動向に敏感であることをとりあげ、世界中の投資家たちにとってはベターな選択だったのでないかと評価している。

右よりのスタンスをとっているウォール・ストリート・ジャーナルも、今回の総裁選が政策の違いよりも派閥争いに終始した点を指摘しながら、野田氏は他の候補に比べれば現実的で効果的な政策を語っており、少しはましな結果だったのではないかといっている。

フランスのル・モンドも、日本が抱えている巨額の債務問題と民主党が抱えている怨念の対決を乗り越える役柄には、五人の候補者の中で野田氏が最も相応しいだろうと、好意的な見方をしている。

一方、中国の人民日報はいまのところ詳細なコメントは控えているようだが、人民網などで過去の記事をチェックすると、野田氏には相当警戒しているようだ。特に野田氏がA級戦犯は戦犯ではないと発言していることを重く見て、彼を対中強硬派で、靖国神社参拝を擁護するタカ派と見ているようだ。

韓国の反応も厳しいものが目立つ。連合通信などは、野田氏のA級戦犯発言を取り上げ、非友好的な感情を吐露している。

ロシアのノーヴォスチ通信は、前原氏ではなく野田氏が選ばれたことに驚きを隠せないようだが、いまのところ詳細なコメントを控えている。

以上、国によって多少ニュアンスの違いが見られるが、どの国のメディアも、日本ではこれで5年間に6人目の首相が誕生するという、このことに対してあきれ返っていることでは共通している




  
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