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小選挙区・比例代表制のおかしなところ:棚ぼた当選の是非


今回の衆議院選挙でも、またおかしなことが起きた。比例区で議席を得るはずの政党が、候補者不足などが原因で、その議席を他党に譲り渡すという事態だ。

比例近畿ブロックでは、民主党は13人の議席を配分されたはずなのに、重複立候補者の大多数が勝ち抜けたために、比例の名簿には11人しか残らず、残りは他党に配分された。またみんなの党は、比例名簿にのっていた重複立候補者が、規定の得票数(選挙区における有効投票の1割)に満たなかったために、割り当ての議席をむざむざ他党に譲り渡した。この結果、自民党が2議席、公明党が1議席を、棚ぼた式に獲得した。東海ブロックでも、みんなの党の割り当て分が民主党に流れる事態が起きている。

政党サイドでもすっきりしない事態だろうが、有権者の立場に立ってみれば、すっきりしないどころか、ペテンにかけられた気持ちにもなるだろう。自分は民主党に投票したにかかわらず、それが正反対の自民党のために使われた、極端に言えばそういうことがおきたのだから。

こうした事態を含めて、今の小選挙区・比例代表制の選挙制度にはおかしなところがある。選挙区で落ちた候補者が比例区で復活するというのはその最たるものだ。今回もこの制度の恩恵にあずかって、選挙区で審判を下された候補者が比例区でどうどうと生き返った。この逆風の中で、自民党の現職閣僚がひとりも落選しないですんだのは、この制度の賜物だ。自民党側はあらかじめ、そういう事態を見込んで、看板の政治家たちを比例名簿の上位にすえていたフシがある。

逆に公明党は、重複立候補を認めない方針を採ったために、党の幹部が軒並み落選するという事態に見舞われた。それはそれでひとつの見識を示すものだろう。確実に当選させたい人間なら、共産党が行ったように、比例単独で望めばよい。

それにしても、有権者の意思を無視した棚ぼた当選は、やめさせたいものだ。割り当てられるべき政党に玉がないというなら、それを他にまわしたりせずに、欠員扱いとするなど、やり方はいくらでもあるはずだ。




  
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