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安倍首相の戦闘機姿




一枚の写真がまた大きな騒ぎを巻き起こしそうだ。この写真(AFPから)は、宮城県松島市にある航空自衛隊を視察中の安倍首相が、ブルー・インパルスの訓練機に試乗しているところを映したものだ。自衛隊の制服らしい物を着て、右手の親指を突き立て、得意そうな表情をしている。

この写真が早速韓国メディアの目に留まり、挑発的妄動だとする非難が一斉に巻き起こった。何が彼らをそんなにも刺激したのか。問題はこの航空機に書かれていた番号だ。韓国メディアは、この番号があの悪名高い731部隊と符合することから、安倍首相はそれをわかっていながらあえて挑発的な行動に及んだと非難するわけなのである。

韓国メディアによれば、米国でもこの写真は問題視され、ワシントンの政治・外交情報誌の『ネルソン・リポート』は「ドイツの首相がふざけてナチス親衛隊の服を着用し姿を現したようなものだ」とコメントしたそうだ。

菅官房長官は、「あえてそんなことをするはずがない」といって、偶然であることを主張したそうだが、それにしてはどうも後味がよくない。韓国のメディアには、安倍首相の隙を突こうとする意図が感じられるが、対する安倍首相の方もあまりにも無防備というか、思慮が足りないというほかはない。

たかが番号、というのが日本側の正直な受け止め方かもしれないが、そんな番号でも、時とところによっては、シンボリックであることを超えて、リアルな効果を発揮する場合がある。

また、日本の首相が戦闘機に乗って得意になっているかのような表情を見せるというのも思慮に欠けた行為といわねばなるまい。好戦的なイメージを自分から振りまくようなものだ。

安倍首相自らの言動がもとで、いまや日本は好戦的な国だと見られかねない状況にある。そういう時に、そういう見方を強めるような言動をすることは、日本の首相として慎むべきだ。

相手に自分の隙を易々と突かせるような行為をするというのは、無思慮というより、喜劇的というべきだろう。自分ではよかれと思いつつやった行為が、自分に不利な結果を生む。それはもう、道化のやる事以外の何物でもあるまい。




  
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